エンジニアプロフィール
橋本 陽英
(はしもと ようえい)
(Yoei Hashimoto)
マスタリングエンジニア
1988 マスタリング専門スタジオ、株式会社 東京CDセンター入社、チーフエンジニアとして従事
2002 オーブライトマスタリングスタジオを立ち上げる
作品にとって最善の完成形をご依頼者と共に考え、仕上げます
マスタリングについて
よく「マスタリングは音圧を上げる作業ですよね」と言われることがあります。それも重要なひとつの側面ではありますが、私の考えるマスタリングをもう少し丁寧にご説明します。
最も大事なのは、受け取った音源を客観的に判断し、その楽曲に最も相応しいサウンドに仕上げることです。
加えて、CDやレコード、配信など目的によってフォーマットや求められる条件は異なるため、それぞれに最適な状態で納品することも重要です。
大きく分けると、この2点です。
よく言われる「マスタリングとは音圧を上げる作業」というのも間違ってはいないと思うのですが、受け取った音源に対して一律の処理を施し、空間を埋めていくようなアプローチでは、その楽曲が本来持っている魅力や表情まで変わってしまうことがあります。
ミュージシャンの演奏はもちろん、レコーディングやミックスダウンという作業、そこにどれだけの時間が費やされ、どれだけのこだわりを持って音が作られてきたのか。
そうした背景を意識し、方法を選択し、必要な処理を施す事を心がけています
また、マスタリング専門スタジオとして大切なのは、制作段階から深く関わっていないからこそ持てる客観性です。
制作の中で気づきにくくなった違和感や、逆に楽曲の個性として残すべき部分を、外側の耳で見極めながら、楽曲に相応しいサウンドへ整えていきます。
機材による変化そのものを活かす部分もありますが、アナログ機材もプラグインも、それぞれに得意なことと不得意なことがあるので、大切なのは「何を使うか」ではなく、「その音楽に何が必要か」を見極め、適切に調整しながら、結果として音圧も含めた楽曲の完成形──“マスター”へと仕上げていくことです。
プロのレベルであればマスタリングの重要性はよく理解されていますし、場合によってはマスタリングをしなくても一定以上の完成度に達していることもあります。
けれど実際には、初めてのレコーディングだったり、予算の都合があったりして、曲も演奏も良いのに、うまく伝わらないまま埋もれてしまっている楽曲も少なくありません。
それはとてももったいないことだと思っています。
アーティストにとって、まだ広く知られる前、これから少しずつ聴いてもらう人を増やしていく時期こそ、本当はとても大切なタイミングです。
そんな時期に世に出す音源だからこそ、思い描いている音に少しでも近い形でリリースしてほしい。
ご依頼は、レコーディングスタジオでしっかり制作された音源から、宅録の作品まで幅広くお引き受けしています。
良いスタジオで録音・ミックスされた音源は、すでに高い完成度に達していることも多いですが、友人に録音からミックスまで頼んだ作品や、ご自身で制作した作品では、リリースしてみると「何か違う」「何か物足りない」と感じることもあるかもしれません。
そうした場合も、ぜひご相談ください。
お預かりした楽曲の中にあるベストを見つけ、より伝わる形をご提案できると思います。
実際、マスタリングをすればもっと伝わるのに、と感じる楽曲はとても多くあります。
ポテンシャルがあるのに、そのまま埋もれてしまうのは本当にもったいないことです。
せっかく世の中にリリースするのであれば、その楽曲が持っている力をできるだけ引き出した上で送り出すことをおすすめします。
ご依頼の際も、細かく言葉にまとまっていなくても大丈夫です。
「まずは聴いてみたい」「思い切りやってほしい」「お任せで」とひとこと添えていただくだけでも、そこから一緒に考えていけます。
ただし、どんな音源でも必ず大きく引き上げられるとは限りません。
とくに多いのは、音圧を求めるあまり深いコンプレッサー処理で音が潰れてしまっていたり、すでに歪みが出てしまっていたりするケースです。
そうした場合でも、何が原因になっているのかを探り、修正方法をご提案することは可能です。
たとえその作品でできることに限界があったとしても、次の作品につながるアドバイスはできると思っています。
大切なのは、ポテンシャルを引き出すことが、単に音圧を上げることだけではないということです。
その楽曲にとって本当に必要なことを見極めながら、少しでも良い形でリリースにつなげる。
それが私の役割だと思っています